はごろもブログ
猫ちゃんの高血圧 その二
2022年9月2日
こんにちは。院長の渡辺です。先日の猫ちゃんの高血圧の続きをお話します。
今回はその原因についてです。多くは病気に伴って現れます。
①慢性腎臓病
高齢の猫ちゃんでは発見されやすい病気ですよね。腎機能が低下すると血圧が上昇します。そして血圧が上がる事でさらに腎臓病を悪化させてしまいます。悪循環ですよね。つまり慢性腎臓病の子が高血圧であるならば、血圧のコントロールも同時に必要となります。
慢性腎臓病の猫ちゃんは、定期的な血液検査を行います。その度に数値が悪化傾向を示すようであれば、もしかしたら高血圧にもなっているかもしれません。血圧も一緒に測ると良いと思います。
②甲状腺機能亢進症
慢性腎臓病と同じく高齢の猫ちゃんでは罹患率が高くなる病気です。この病気の典型的な症状は『元気も食欲もある』『水もよく飲んでいる』という一見ポジティブな行動を見せる一方で『痩せてくる』というものです。そのせいか『痩せてきたのは歳のせいかな?』と思われる飼い主様も時々いらっしゃいます。
甲状腺機能亢進症も高血圧になります。通常は投薬によって甲状腺ホルモンの血中濃度をコントロールする事で血圧も低下します。治療はシンプルです。
③本態性高血圧症
これは上記したような血圧上昇の原因となる病気に罹患していないのに、高血圧になってしまう現症を言います。病気にかかっていないため特徴的な症状が無く、いつのまにか高血圧になってしまって発見は遅れがちです。
そうならないためにも、10歳を過ぎるような動物たちは定期的な健康診断をして血圧測定すると良いと思います。
最後に。高血圧の猫ちゃんを治療すると、多くの飼い主様たちが『今までより活発になった』『食欲が増した』などの変化を言葉にされます。すべての子に当てはまる訳ではありませんが、高血圧の治療は高齢動物の生活の質を上げる可能性を秘めていると個人的に思います。動物たちにとっては病院では緊張してしまう、じっとしていられない、など血圧を正確に測定するのがそれなりに大変だったりするのですが(汗)定期健診などでは出来るだけ血圧測定も一緒にやって貰うと良いと思います。
猫ちゃんの高血圧
2022年8月8日
皆さん、こんにちは。院長の渡辺です。あまりに久しぶりになりますが、ブログ更新します(笑)
表題にある通り、今回は猫ちゃんの高血圧についてお話します。
これまでも猫ちゃんの血圧の測定は日々行っていたのですが、ここ数年でその意義は大きいな、と感じる経験が多くなりました。様々なケースをご紹介したいと思っているのですが、まずは動物の血圧測定の仕方をご紹介します。
画像のような装置を腕や尾にピタリと巻き付けます。測定中は人間の血圧計のように巻き付けた帯が一度最大に膨らみ、その後シューッと空気が抜けてしぼみます。これで測定は完了です。
いたって簡単な検査なのですが、測定中に動いてしまうと正確な値が出ませんので、いかにして動物が落ち着いた状態でいてくれるか?がポイントになります。
どういう状況なら落ち着いてくれるか?はその子によって違います。声をかけ続けながらご機嫌をとる。抱っこが良い場合。自分のキャリーケースに入っている方が落ち着く、など。
動物病院での血圧測定はおそらく緊張のせいで、本来の数値より少し高めに出ると思います。また一度に何回か測定するのですが、回を追うごとに緊張がほぐれ血圧が下がっていく傾向が見られます。多い時は10回以上一度に測定します。最初と最後では30~40くらい差が出る事もしばしばあります。
さて猫ちゃんの高血圧の治療ですが、私は経験的な事をふまえて動物病院で測定する時に『上が150、下が100以下』辺りを目指します。高血圧の猫ちゃん達の症状はなかなか分かりづらいのですが、上手く治療できると食欲や活動性が増し『年齢のせいかな?』と思われがちな行動の変化も改善される様子をしばしば見受けます。
猫ちゃんの高血圧の理由というのは代表的なものがいくつかありますので、それは次回にお話ししようと思います。次回も是非お読みください!
東京都にファシリティドッグが導入されました。
2019年9月6日
こんにちは、院長の渡辺です。
先日、東京都で初めてファシリティドッグが導入されました。犬の名前は『アイビー』です。小池百合子都知事が東京都立小児総合医療センターを訪問された様子がテレビでも放送されました。
ちなみに院内でアイビーと一緒に撮った写真がこちらです。カメラ慣れしていて素晴らしいです。
ファシリティドッグというのは、ヒトの病院で活動する犬です。幼少期から専門的なトレーニングを受け、病棟内で小児の治療や検査に付き添います。アイビーは子供にピタリと身体を寄り添い、検査や治療に対する不安を柔らげてくれます。
獣医療において、患者の不安や痛みは治療成績においてネガティブである事が分かっています。肉体的、精神的なストレスは病気の治りを悪くするという事です。
以下、東京都立小児総合医療センターの院長先生のご挨拶の一部です。
『アイビーとハンドラーの大橋さんの「アイビーチーム」は、病気と闘う子どもたちを、笑顔にしてくれます。
そして、家族、職員、もちろん、私も笑顔にしてくれます。 ファシリティドッグは医療者です。毎日のように、子どものそばにいてくれることで、子どもたちが治療に前向きになれ、ストレスが軽減し、副交感神経優位にするなどにより治療成績に影響するとの報告があります。この医療効果に関するエビデンスを検討して、社会にアピールしていくのも我々の努めです。・・・・アイビーが、そこにいることが潤滑剤となり、医療者、患者、家族とのチームワークがうまれ、患者参加のチーム医療に貢献してくれます。
私も、廊下でアイビーに出会うと、ついつい頭をなでてしまいます。アイビーに触る前に必ず手指衛生して下さいと注意されました。感染症、アレルギー、犬が苦手な人へのルールを守り、ファシリティドッグチームを応援していきましょう。 』アイビーの存在が小児医療でどれほど大事であるか、そしてアイビー自身も大切にされているのかが分かります。
アイビーの病棟でのお仕事は認定NPO法人シャイン・オン・キッズという団体の活動の一部です。小児がん、難病を抱える子供たちとその家族を支援する活動をしています。公式のHPのリンクは以下です。またシャイン・オン・キッズは活動を支えるためのクラウドファンディングも行っています。ご興味のある方は合わせてご覧ください。
https://readyfor.jp/projects/facilitydog
最後にエピソードを1つ。ご家族、お医者さん、看護師さん誰がどんな風に説明しても歯磨きが苦手な子供がいました。その子に『アイビーだって毎日歯磨きしているんだよ?』と病棟の看護師さんがお話すると『アイビーが歯磨きするなら僕もやる』と言って歯磨きができるようになりました。
猫のトリミングについて~カットとシャンプー
2019年8月3日
こんにちは、院長の渡辺です。今日は猫ちゃんのトリミングについてです。
当院は猫ちゃんのトリミングも受け付けておりますが、猫ちゃんという生き物の性質のせいで、大人しくカットさせてくれる子は多くありません。『できる範囲でなら、お受け致します』という条件がどうしてもついてしまいます。
ところで美容としてのトリミングでは無くとも、衛生上もしくは病気の予防や治療のためにカットが必要となってしまう場合があります。
たまに遭遇するケースとしては、ブラッシングをさせてくれず、大きな毛玉が出来てしまったケースです。放って置いたら背中やお腹に毛玉の塊が出来てしまい、フェルト状の板のようなものになってしまい広範囲の皮膚炎になっていました。切り取った大きな毛玉の中から虫の卵のようなものが出て来た事もありました(冷汗)。
そんな時に猫が非協力的な性格であると、なかなか厳しかったりします。
実は私の家で飼っている猫もそんな問題児の1人です。長毛なのにブラッシングが好きではない。嫌なことは手も口も出てくるかなり厄介な性格の猫です。私だったらシャンプーやカットなんて怖くて絶対に出来ないです(苦笑)。
そんな我が家の猫ですが、数年に一度は鎮静剤を使って眠っている間に全身のカットや健康チェックなども一緒にする事があります。鎮静剤をかけてでも絶対にやってください、という意味ではありません。参考程度にお考え頂ければと思います。
下の写真は数年前に私がバリカンをかけた時のビフォー、アフターの写真です。
スッキリして別の猫になったみたいで新鮮でした。でも性格は別の猫のように大人しくはなってはくれませんでした。
犬、猫の腎機能検査『SDMA』について ~キャンペーンのご案内~
2019年5月29日
こんにちは院長の渡辺です。今日は『SDMA』という腎機能検査についての話です。
腎機能検査で一般的な血液検査といえば『BUN(尿素窒素)』『クレアチニン』です。一般的な健康診断に必ず入っている馴染みのある検査項目です。2つ共に動物の状態を把握しやすい優れた項目ではありますが、腎臓病(腎不全)の早期発見については、より優れた検査項目が数年前から実施されています。それが『SDMA』です。
SDMAは『対称性ジメチルアルギニン』の略です。アミノ酸のアルギニンがジメチル化された物質です。SDMAのほぼ全てが腎臓の濾過によって排泄されるため腎機能の指標となります。SDMAは『クレアチニン』よりも早期に腎臓病(腎不全)の発見を出来る可能性のある事がわかっています。具体的に犬で9.5か月、猫で17か月も早いと言われています。特に猫ちゃんでは腎臓病の早期発見は大事です。
つまりSDMAを検査する事で腎臓病を早期発見し、進行を遅らせるための早期治療を積極的に行う事が可能です。SDMAについて詳しく知りたい方は以下のバナーをクリックしてみてください。
ページの下の方に『腎臓病の早期発見に役立つ最新の検査』という欄がありますのでそこをクリックしてみるとSDMAについて検査会社の詳しい説明が記載されています。
当院では2019年6月1日~10日までSDMAの検査キャンペーンを行います。内容は腎臓を含めた一般的な内臓の数値とSDMAを含めた検査です。通常の検査料金よりも抑えて実施しますので、ご興味のある方はお電話下さい。*お手数ですが検査にはご予約が必要です。
平成最後の診療日
2019年4月30日
こんにちは院長の渡辺です。今日は平成最後の日です。いよいよ終わります。令和を迎える前に動物にちなんだ平成30年間を振り返ってみたいと思います。
私が幼い頃、実家では雑種のタロウという犬を飼っていました。飼い主は私の父でした。タロウは庭で飼われていて鎖に繋がれていました。ご飯は基本ヒトの食べた残りものや、味噌汁を含ませた白米などでした。今と全く飼い方は異なっていたものの、タロウが死んでしまい遺体がトラックに積まれた時に、生き物の死に初めて触れ大泣きした記憶があります。走り去る青いトラックの姿をおぼろげですが覚えています。この話は昭和のお終わる頃のものですから、平成のスタートも一般家庭の動物は同じような飼い方をしていたご家庭も多かったと思います。
某金融会社のCMに突如現れたチワワのクーちゃん。これは2002年の話で17年前です。また彦根城のゆるキャラのひこにゃんが登場したのが2007年でこちらは12年前です。ちなみに舐め猫は1980年なので昭和です。また黒猫のジジが登場したジブリ作品魔女の宅急便の映画公開は1989年(平成元年)で30年前です。随分と昔ですね。。同じ年に人の顔をした犬、人面犬なんていう都市伝説?もありました。また漫画の動物のお医者さんは1987年から1993年(平成5年)にかけて連載されていました。実物のシベリアンハスキーの仔犬の可愛さは半端ないですよね。
人気犬種で言えば平成初期はダックスフンドが流行りましたね。また昭和から引き続きマルチーズも多かったと思います。チワワのくーちゃんが出現した頃からはチワワブーム、そのすぐ後にトイプードルが人気犬種になりました。トイプードルは10年位トップ頭数だと思います。最近では柴犬の頭数が増えているように思います。それとミックス犬も多いですよね。
『ネコは拾うもの』なんていう時代がありました。学校の帰り道に仔猫を発見したり、猫が家にご飯を貰いに通っているうちに家猫になってしまうという事もありました。今では純血種を飼う方がとても増えました。外と家を行き来する猫もだいぶ減ったように思えます。猫にとっては外を知ってしまうと行きたくなる子が多いです。外に出る子は一般的に寿命は短い傾向にあります。交通事故や白血病ウィルスなどの感染で短命になる事があります。今では完全室内飼いの猫ちゃんが圧倒的に増えました。
犬の仕事に新しいものが増えました。ファシリティドッグというものをご存知でしょうか?犬が人の病院に滞在し患者(ヒトの)と交わる事で患者の生活の質の改善や、治療に貢献します。特に小児医療ではファシリティドッグは闘病中の子どもたちやその家族に癒しや勇気を与える事が出来ます。
動物愛護の精神に反するというお考えの方もいらっしゃるとは思いますが、誤解を恐れずに言うと私は犬がヒトのために仕事をする事に多くの場合は賛成です。多くの場合というのはその仕事が極端なものでなければという意味を含んでいます。あまりに過酷な仕事には賛成できませんし、スキルを身に付けるための訓練が大変な事もあると思います。
私はヒトと犬との関係に関してはポジティブに考えたいと思っています。犬がヒトのために頑張ってくれる事、同時にヒトが犬に対して精一杯の愛情と待遇をもって迎える事が、お互いの幸せな共存に繋がると思っています。医療の現場で活躍してくれる犬がいるという事実は、自分の事のように嬉しく誇らしく思ってしまう部分もあり、一方で彼らの力にならなければとも思っています。
平成の30年間は沢山の変化がありました。令和の時代はさらに大きな変革があるのかもしれません。それが世の中の幸せへと発展するものである事を強く願って止みません。
小型犬の膝蓋骨内方脱臼について
2019年4月15日
こんにちは、院長の渡辺です。
今回は小型犬ではよく遭遇するトラブルである『膝蓋骨内方脱臼』について説明します。膝蓋骨とは分かりやすく言うと『ひざのお皿』です。我々のひざに触れるものと同じです。トイプードルやチワワといった小型犬によく見られますが、柴犬のような骨格のしっかりとした子でもたまに遭遇する疾患です。
さて、膝蓋骨の脱臼とはどのようなものか?画像を見て説明します。
写真は下半身を正面から撮影したレントゲン写真です。白い矢印(⇨)で指した楕円形の骨が『膝蓋骨』です。本来の位置からは外れてしまっています。またカカトからヒザまでのスネの骨が真っ直ぐ伸びておらず内側へ曲がってしまっています。正しく言うと内転といって骨が内回りに捻じれてしまっています。このような骨格の犬は脱臼しやすいといえるでしょう。
上の画像は脱臼の手術2ヶ月後の写真です。矢印(⇨)が膝のお皿(膝蓋骨)です。正しい位置に戻っています。
膝蓋骨の脱臼には程度があり、軽いものであれば手術はせずに関節を保護するサプリなどを用いて経過観察をするケースが多いといえます。しかしどんなに軽い脱臼でも完全に治療するならば手術が必要です。
また日常生活で後ろ足に負担のかからないような配慮が必要です。太らせないようにする、滑りやすい床などで走らせない、などに注意しなければなりません。
膝蓋骨脱臼は診察時に身体検査で見つかる事が多いですが、レントゲン撮影をすることで、より詳しく把握する事ができます。膝蓋骨脱臼について気になる事があれば気軽にご相談ください。
イチロー引退
2019年3月23日
日本人メジャーリーガーのイチローが引退を発表しました。現役生活が日本で9年、今年はメジャーで19年目となるシーズンだったそうです。
イチローがシーズンで262本の最多安打を打った2004年、私はまだ大学生でした。研究室のパソコンで卒論を作成する合間に、今日は何本打ったのか?と期待しながらネットで毎日検索していた事を思い出します。15年前の話ですからスマホはまだ有りませんでしたね(笑)。
個人的な考えですが『人より抜きんでた才能を持った人が、人より多くの努力をし続ける』とイチローのようなスペシャルなヒトが出来上がるのかな?と思います。私のような凡人には到底見る事のない景色を見続けてきたのだろう、と思いを馳せてしまいます。
そんなイチローが引退後は色々と語ってくれないかなぁ、と期待しています。移籍や記録達成の節目でイチローという偉大なるスポーツ選手が何を感じ、何を考えていたのか?私自身が仕事や日常生活を振り返り、自然と省みるような、背筋が伸びるような話を聞けるのではないか?と興味が尽きません。
引退はとても寂しいですが今後も色々な所で活躍して、これまで以上にワクワクさせてくれることを期待してしまいます。
獣医師国家試験
2019年2月16日
『馬鹿とラットには胆嚢(胆のう)が無い』
これは獣医師国家試験のために覚える語呂合わせです。ウマ(馬)、シカ(鹿)、ラットの事ですね。
私の人生で一番勉強をして臨んだ試験が国家試験でした。6年間で学んだ事が試験範囲になるのですから、その量が膨大なのは当然ではあるのですが。。
獣医師の国家試験の内容は犬や猫の病気や治療の事だけではありません。代表的なものにウシ、ウマ、ブタ、トリなどの家畜動物に加えて魚も勉強します。
フグ毒の名称や貝類の毒はどこの部位にあるか?アニサキスの感染経路、予防法は?なども覚えなければなりません。
また公衆衛生学では水道水に含まれる塩素濃度や、割った卵の卵白の高さを測り鮮度の指標とする計算(ハウユニット)をしてみたり、当時(今でも確信は無いのですが)これは獣医師の知識としてどれほど必要なものなのか??と疑問になってしまうような内容もありました。
ところで、実は今でも国家試験に関係した『夢』を見る事があります。数年に1回は見ます。焦っている夢です(笑)。
内容はいつもある程度一緒で、動物の診療をしながら国家試験を受けに行かなければならないのですが、試験時間と手術予定の時間がかぶってしまってどうしよう??といったようなありがちな『夢』です。
大学の教授には『国家試験の夢はいくつになっても見る人は見るよ』と言われていましたが本当でしたね(笑)。
今年もそろそろ獣医師国家試験が行われます。当時の私の試験会場は東京の池袋でした。3月の暖かい日でした。
私は大学が青森でしたので池袋の都会感と春の陽気に浮かれてしまい、まだ試験前日なのにナンジャタウンに行き、餃子を食べお酒を飲み都会を満喫してしまいました(笑)。また、これから始まる大一番への緊張感はあるものの『もう勉強しなくていいんだ!』という圧倒的な開放感に喜びが勝ってしまい、おかしなテンションでした。
あの日の高揚感は今思うと本当に特別なものでした。皆さんも、そんなご経験ありますか?
犬の褥瘡(傷口)の治療
2018年11月2日
こんにちは、院長の渡辺です。今日は犬の褥瘡(傷口)の治療をお話します。
『傷口にガーゼを当てる医者は19世紀の医者です。』と発言された“ヒトのお医者さん”がいました。もう10年位前ですが、その先生が獣医師向けにセミナーを開いてくれた事があり、その時に聞いた言葉です。先の発言もちょっと過激に聞こえますが、それは分かりやすく面白くお話される工夫であり、かつ講義内容は当時の私にとって驚くべきものでした。
さて本題ですがワンちゃんも年を取り病気もすれば、自分で寝返りし体勢を変える事が困難になる子がいます。痩せてくると肩や骨盤の角張った所が目立ってきて、さらに褥瘡になりやすくなります。
症状の強いものは皮膚がごっそり欠損してしまい中の骨や肉が見えてしまうこともしばしばです。今回はその治療を画像を見ながらお話します。
上の写真は治療を初めて1週間位の写真です(クリックすると拡大出来ます)。皮膚の欠損(穴が開いている)部がはっきりとしていますが、よく見ると欠損部の縁は白く薄い皮膚が出来上がってきています。白→ピンクへとグラデーションのようになっています。治っていく気配が見られます。しかしながら一部には深い部分まで空洞が見られます。
5日後の写真です。欠損部の深さはあまり変化はありませんが、面積が狭まっています。縁も白い領域が増して来ています。順調です。
さらに1週間後です。目に見えて新しい皮膚が伸長しています。続きます。
約1カ月後には治りました。次が最後の画像です。
治療の方法はシンプルです。患部を水道水で洗って、ワセリンを塗る。後は乾かないように保護剤を貼るだけです。『培養』という言葉をご存知でしょうか?培養液で試験管やシャーレ内を満たし、細胞を増やす方法です。
怪我をした時に傷口からじわっと出てくる液体を滲出液と言いますが、この液体は培養液と同じ働きをします。傷口をワセリンや保護剤で乾かないようにし滲出液で満たしてあげる事で、新しい皮膚を『培養』します。すると皮膚を作る細胞が増殖され欠損部に新しく皮膚が出来上がります。
傷口にガーゼを当ててしまうと①傷口が乾いてしまい培養が上手くできない②ガーゼをとる時に痛い上に新しく出来た皮膚の一部をペリペリと剥がしてしまう、というデメリットがあり、治りが悪くなる場合があります。ですので状況に応じて使い分ける必要があります。この治療は『湿潤療法』と呼ばれています。
- ご案内
〒190-0021
東京都立川市羽衣町2-11-3
国立ダイヤモンドマンション1F
診療時間
月 Mon |
火 Tue |
水 Wed |
木 Thu |
金 Fri |
土 Sat |
日 Sun |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
10:00 ▼ 13:00 |
● | ● | ● | 休 | ● | ● | ● |
16:00 ▼ 19:00 |
● | ● | ● | 休 | ● | ● | 休 |
※祝日は終日休診です
地図
電車:西国立駅 徒歩5分
国立駅 徒歩20分
お車:駐車場3台完備
診療対象動物
・犬・猫
診療科目
・各種検査
・外科
・内科
・予防接種
・トリミング
・ペットホテル