はごろもブログ
犬の褥瘡(傷口)の治療
2018年11月2日
こんにちは、院長の渡辺です。今日は犬の褥瘡(傷口)の治療をお話します。
『傷口にガーゼを当てる医者は19世紀の医者です。』と発言された“ヒトのお医者さん”がいました。もう10年位前ですが、その先生が獣医師向けにセミナーを開いてくれた事があり、その時に聞いた言葉です。先の発言もちょっと過激に聞こえますが、それは分かりやすく面白くお話される工夫であり、かつ講義内容は当時の私にとって驚くべきものでした。
さて本題ですがワンちゃんも年を取り病気もすれば、自分で寝返りし体勢を変える事が困難になる子がいます。痩せてくると肩や骨盤の角張った所が目立ってきて、さらに褥瘡になりやすくなります。
症状の強いものは皮膚がごっそり欠損してしまい中の骨や肉が見えてしまうこともしばしばです。今回はその治療を画像を見ながらお話します。
上の写真は治療を初めて1週間位の写真です(クリックすると拡大出来ます)。皮膚の欠損(穴が開いている)部がはっきりとしていますが、よく見ると欠損部の縁は白く薄い皮膚が出来上がってきています。白→ピンクへとグラデーションのようになっています。治っていく気配が見られます。しかしながら一部には深い部分まで空洞が見られます。
5日後の写真です。欠損部の深さはあまり変化はありませんが、面積が狭まっています。縁も白い領域が増して来ています。順調です。
さらに1週間後です。目に見えて新しい皮膚が伸長しています。続きます。
約1カ月後には治りました。次が最後の画像です。
治療の方法はシンプルです。患部を水道水で洗って、ワセリンを塗る。後は乾かないように保護剤を貼るだけです。『培養』という言葉をご存知でしょうか?培養液で試験管やシャーレ内を満たし、細胞を増やす方法です。
怪我をした時に傷口からじわっと出てくる液体を滲出液と言いますが、この液体は培養液と同じ働きをします。傷口をワセリンや保護剤で乾かないようにし滲出液で満たしてあげる事で、新しい皮膚を『培養』します。すると皮膚を作る細胞が増殖され欠損部に新しく皮膚が出来上がります。
傷口にガーゼを当ててしまうと①傷口が乾いてしまい培養が上手くできない②ガーゼをとる時に痛い上に新しく出来た皮膚の一部をペリペリと剥がしてしまう、というデメリットがあり、治りが悪くなる場合があります。ですので状況に応じて使い分ける必要があります。この治療は『湿潤療法』と呼ばれています。
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